こんにちは、おかもとたかしです。
前回に引き続き、アップル創業者のスティーブ・ジョブスが2005年にアメリカのスタンフォード大学の卒業式で行った有名な講演について取り上げたいと思います。
この講演はジョブスが自らの半生を語りながら、そこから得た人生観や経営哲学に言及したもので、多くのビジネス本や自己啓発書にも紹介されている、伝説的なスピーチです。
すでに多くの方が独自の視点で解説をなさっていますが、今回は、ジョブスが自分で作った会社を追放されたエピソードについて語ったことを中心に述べてみたいと思います。
前回から続く今回の記事内容ですが、ジョブスが最も伝えたかったであろうメッセージを最後にご紹介します。それは現代に生きる私たちにも突き刺さる言葉です。
挫折から幕を開けた快進撃
前回の記事では、ジョブスがアップルから追放された経緯を本人のスピーチの発言をもとに紹介しました。ジョブスはその出来事について、このように振り返っています。
当時は気づかなかったが、アップルをクビになったことが、人生で一番素晴らしい出来事になった。
ジョブスにとって、自ら創立した会社から解雇されたことは最大の屈辱であり、人生で最たる挫折の瞬間でした。しかしその出来事こそ、今となっては一番素晴らしい事だったと述べています。
災い転じて福となす、という言葉がありますが、ジョブスにとって最高に悔しい出来事を、むしろ新しい人生の展開のチャンスととらえたわけですね。
それから、人生で最もクリエイティブな時期に入った。5年の間にネクストを立ち上げ、さらにピクサーを設立した。さらに後に妻となる女性と恋に落ちたのもこのころだ。
アップルを離れて立ち上げた会社も成功に導いたジョブス。やはり、事業を大成功させる人物は、ところ変わっても、やはり大成功するんですね。稀代の天才経営者ジョブスは、人生最大の挫折をバネに、さらに飛躍していったのです。
ピクサスは世界初のコンピューター・アニメの長編映画「トイ・ストーリー」を制作して、今や世界でもっとも成功したアニメスタジオになった。
ジョブスは、のちのipodやiphoneもそうですが、「世界初」を作り出すのに並々ならぬ情熱を燃やしています。世界を変えるくらいの発明をしてやる!という野望が、人生の節目節目で見られるんですよね。
そして、世界初、世界一を実現し続けるのがジョブスの偉大さ。「世界を変えた男」の名にふさわしい業績だと思います。
その後いろいろあって、アップルはネクストを買収して、私はアップルに復帰した。ネクストで開発した技術は、アップルの現在の発展の核になっている。
そして結局ジョブスはアップルに復帰するわけですね。世の中何が起きるかわかりませんが、ジョブスをクビにした人たちは、彼が再び会社に戻ってくるなど夢にも思っていなかったはずです。
後から振り返ると、人生は不思議なことに偶然が重なり合って、最後は落ち着くところに落ち着くようにできているという気さえします。これには、納得される方も多いのではないでしょうか?
確信を持って言えることは、これらの出来事は、私がアップルをクビにならなかったら、何一つ起こらなかったということだ。ひどく苦い薬だったが、患者である私にとっては良薬だったのだろう。
ジョブスらしい例えですね。日本にも「良薬は口に苦し」という言葉がありますが、「いい薬=いい出来事」だったとは後で気づくものなんですよね。激動の時期を振り返り、ジョブスにとっては人生最高の劇薬だったようです。
人生には時折ガツンと頭を打たれるときもある。でも信念を失ってはいけない。
これは目に前にいる学生たちに向けたメッセージだと思います。ショッキングな出来事に遭遇しても、己の信念を失わないよう、諭しています。
ではジョブスが大事にした信念とは、何だったのでしょうか?
好きなことを見つけよう
ジョブスの信念とは、ずばり、こちらです。
自分がやってきたことを愛し続けたことが、私を突き動かした唯一の原動力だったと確信している。
すなわち、自分の好きなことに全力を注ぎ続けた、ということですね。ジョブスはこれを「唯一」の原動力とまで言っています。
自分が愛するものを見つけよう。それは仕事でも恋人でも同じだ。
これは、門出の日を迎えた学生たちに対する贈る言葉ですね。
仕事は人生の大半の時間を占める。だがその中でも本当に満足度を得られるのは、自分が素晴らしいと信じている仕事だけだと思っていい。
これは深い意味があると個人的には思います。世界を驚かす製品を次から次に世に繰り出した人物ですから、この言葉にはスケールの大きさを感じるのです。「世の中の常識を変えるくらいの大きな仕事のことだよ」という意味を込めているのではと思います。
素晴らしい仕事をする唯一の道は、好きなことを仕事にすることだ。
史上最高レベルの成功者の言葉です。重みがありますね。
本当に今自分がしている仕事は、本用に好きな仕事なのか?ちょっと考えたくなります。
まだ見つけていないのなら、探し続けよう。諦めないで。見つかるときは、これだ!とその瞬間に分かるものだ。
「これだ!」という閃きが起きた瞬間は心地いいです。未来が一気に拓けてきたような気分になれます。そしてその気分こそ、自分の本当の想い。心の底からのメッセージなのです。
素晴らしい人間関係が年を重ねるごとに醸成されるように、好きなことにのめりこんでいくと、時間と共にどんどん面白くなっていくものだ。
全くもってその通りですね。
だから探し続けよう。諦めないで。
ジョブスの締めの言葉です。胸に刻んでおきたいですね。
まとめ
いかがでしたか?2回に分けて、ジョブスの有名なスピーチの中から、人生最大の挫折にスポットを当てて、その経験をどうプラスに変えていったか、最悪の出来事をいかにして最高の出来事に変えていったかを見ていきました。
卒業式スピーチでは、私はこの「挫折と再生」のストーリーが最も心に響きます。ジョブスのたくましさと繊細さが両方垣間見えて、人間臭さを感じるのです。
光が強ければ、影もまた強烈だったジョブスの人生でしたが、世界史に名を残す偉大な実業家の輝かしい業績と存在感は今後も色あせつことはないでしょう。
そして彼が生涯にわたって愛を注ぎ、好きなことを仕事として究め、今なお世界中の人々に喜ばれているアップルも、世界の最先端企業でい続けることでしょう。