幸田露伴「努力論」が今でも全然通用する件 結論:昔も今も考えることは一緒

考察

いま、ネット上で「努力」のあり方を問う動きが広がっています。頑張っても頑張っても「努力が報われない」と感じる人が多く、「努力する」とは一体何か、再定義する議論がSNS等でで見られるようになりました。

「正しい努力」とはどういうものか、気になるところ。そしてそれについて100年以上も前に、ある書物が提起していたことをご存知でしょうか?

その名は「努力論」。筆者は幸田露伴(こうだろはん)です。驚くことに、今、自己啓発の分野で語られる最近の「努力」の解釈と、かなり一致しているのです。

今回は、「努力論」を内容を抜粋しながら、昔も今も、「努力」についての捉え方に大きな差はない、ということをお伝えしようと思います。

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幸田露伴について

幸田露伴(1867~1947)は、明治、大正、昭和になけて活躍した小説家。作風は「理想主義」で、代表作に『風流仏』『五重塔』『運命』などがあります。

同世代の尾崎紅葉ととも「紅露時代」と呼ばれる時代を築きました。第1回文化勲章受章者としても知られています。

「努力論」について

岩波書店の文庫本版の表紙に、以下のような解説文があります。

「努力している,もしくは努力せんとしている,ということを忘れていて,我がなせることがおのずからなる努力であってほしい」.何かをなそうとしても,ままならぬことの多いこの世の中で,いたずらに悩み苦しまずに,のびのびと勢いよく生きるにはどうすればよいか-人生の達人露伴の説く人生論.(解説=中野孝次)

出典:岩波書店「努力論」

つまり、「努力している」と意識しているうちは努力とは言わない、努力と意識せずとも今ここで自然に振る舞っていることが、おのずと努力していることになる、ということです。

これは、偉業を成し遂げた偉人たちの名言にもよく見られる考え方です。これだけでも、時代を超越した真実と言えそうです。

次章で、内容をさらに深堀りしてみましょう。

努力とは何か?

「努力論」では、露伴の深い洞察により、「努力」というものの本質を浮かび上がらせています。

直接の努力と間接の努力

本書では、努力というものをよく観察してみると、「直接の努力」と「間接の努力」の2種類があると指摘しています。直接の努力とは、さしあたっての当面の努力で、目の前のことに全力を尽くすことだ。間接の努力というのは、将来に向けて準備を行なう努力、基礎となる努力のこと。もちろんどちらも重要な要素で、両者とも怠ってはいけません。

これは現在でもよく語られることで、「目に見える努力、見えない努力」と言い換えられることがあります。

間接の努力が足りていなければ成果は出ない

この2つの努力のうち、関節の努力は怠りがちになります。努力しても、よくない結果に終わってしまった原因として、間接の努力をせずに、直接の努力だけをしたことが挙げられます。

決して不可能ではない目標に対し、それに向かって努力してもよい結果が出ないのであれば、それは間接の努力が欠けていないか、見つめ直す必要があります。

「努力している」と思うならそれは努力ではない

先ほど引用した解説文のとおりですね。露伴は、努力することの素晴らしさは認めているものの、自分が「努力している」と思っているうちは、努力とは言えないと説きます。その理由として、「努力している」の言葉の裏側に「やりたくない気持ち」が残っていて、それでも無理にやろうとしているから、と述べているのです。

これに、身につまされるような人もいるかもしれません。「やりたくない」という意識がなくなり自然に淡々とこなしていることが努力の神髄であり、また醍醐味でもあるというわけです。

努力するために人は生まれた

努力の成果が出るかどうかで、努力するかしないかを決めてはいけない。努力は成果と関係なく、「するべきもの」と説いています。

これこそが、本書の肝となる部分で、露伴が最も伝えたことではないかと推測します。努力というのは、常に前進していきたいという人間本来の姿であると述べているのです。

つまり、私たちは「努力するために生まれてきた」と言っても過言ではありません。私たちが情熱を持ちながら生きているのは、人生を前に進めたいがため。努力するからこそ人生は面白く、努力することによって今この世に生きる意味を見出すことができるのです。

努力することがあなたの「ありのまま」の姿なのです。ですから、どんどん努力しましょう。もちろん、上記に述べた努力の神髄をお忘れなく。

まとめ

いかがでしたでしょうか?「努力論」が刊行されたのは1912(明治45)年のことっですが、100年以上たっても古臭さを感じさせません。いま書店に並んでいるビジネス書や自己啓発書に載っている「努力」の定義に、そのまま当てはまりそうで、普遍性の高い内容と言えるでしょう。

昨今の努力に対する考え方は決して今始まったことではなく、昔から語られていたこと。つまり、昔も今も、人間が考えることは同じ、ということになります。

だからこそ、迷ったときに先人の知恵を借りることはとても重要。自分の思いに符合していたら、あなたは、正しい道を歩んでいると自信を深めることができるのです。

 

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