あ
テレワークをしている方、ストレスなく仕事ができていますか?
なかには…

自宅で仕事をこなすって難しいものだね。
ついさぼっちゃって、仕事を後回しにしてしまうよ。
また、管理職の方なら、

俺、チームリーダー任されてるけど、
みんなちゃんと家で仕事してくれるのかな~。
などと、心配になっている方もいるでしょう。
そんな中、NHKでこのような報道がありました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、テレワークを導入する企業が増える中、会社にいないため、働きぶりを直接、見ることができない社員の勤務時間や勤務状況を管理するシステムの導入が広がっています。
出典:NHK
企業を経営する側、社員(チーム)をマネジメントする側からすると、在宅で働く社員(チームメンバー)がきちんと働いているかはやっぱり気になるところ。
そんなマネジメント側のニースに応えるシステムが次々に導入され、テレワークが新たなステージに入りつつあるという記事です。
今回はこの記事を詳しくご紹介しながら、テレワーカーの「監視」につながりかねない勤務管理システムが今後どういう影響を及ぼしていくか、展望してみたいと思います。
どうぞ最後までお読みいただければと思います。
導入されている最新の勤務管理システムとは
テレワークを導入する企業が関心を持つのは以下の3点です。
社員が在宅勤務になると、これらのことが確認しずらくなるわけです。
そんな中で、先月から230人の全社員を対象にテレワークを導入した都内のIT関連企業「アイエンター」があるシステムを取り入れたことが、記事で取り上げられています。
この企業がテレワークを始める時に導入したのが、パソコンのクリック一つで勤務時間が管理できるシステムです。パソコンのデスクトップ上に、「着席」「退席」というボタンがあり、テレワークを行う社員が業務の開始時と終了時にそれぞれクリックするだけで、自動で日々の勤務時間を管理してくれます。
会社で導入されているタイムカードのシステムでは、昼食などで休憩に入るときも、そのつど、「退席」と「着席」をスキャンしますよね。
それと同様のことが、オンライン上でボタンをクリックすることでできてしまいます。
さらに、休憩時間をどれだけとったかも、1秒単位で記録されます。
そして記録された内容はシステム上で管理されるという優れモノ。これにより管理者は、部下やメンバーが現在きちんと勤務状態にあるかどうかと、各々の勤務時間の総計を把握できる仕組みになっています。
おまけにこのシステムの秀でている点として、社員が「着席」中の社員のパソコンの画面がランダムに撮影され、管理者に送信される機能があること。社員がどんな作業をしているか「見える化」できるわけです。
逆に社員には、いつ画面が撮影されるか分からないといいます。これでは社員側としては不安になってしまいますよね。
会社では、自宅で働く社員に一定の緊張感を持ってもらう効果があると考えています。
というわけです。
マネジメントには便利なシステム
極めて革新的で便利なシステムが導入されという印象です。
このシステムを活用する現場の声を記事では紹介しています。
この企業で働く直井俊樹さんは、7人の部下をかかえるグループのリーダーです。テレワークを始めた当初は、部下の顔が見えなくなってコミュニケーションが難しくなることを心配していましたが、システムを通じて働きぶりが見えるため今のところテレワークは順調だと受け止めています。
グループリーダーとはまさに中間管理職ですから、部下が指揮どおりに働き、成果を出してくれるかは重大問題です。
この直井さんのコメントから、管理者側の雑感を探ってみると、
と、かなりポジティブな受け止めがなされています。
社員をどう評価する?
勤務管理システムは、会社側、マネジメント側にとっては、画期的なシステムと言えそうです。
しかし課題となるのは、もちろんテレワークを実際に行う社員(テレワーカー)をどう評価するか、という点です。
テレワークは、オフィスワークに比べてコミュニケーションが格段に下がる分、会社(チーム)の目標や理念が共有されにくいのではないかという懸念があります。
人事評価のシステムを提供している都内のITベンチャー企業は、ことし2月からテレワークを導入する場合の課題について、オンラインセミナーを開いています。参加した中小企業からは、社員の働く姿が見えない中、どう評価すればいいかという悩みが増えているといいます。
この企業がリリースしている画期的なシステムが、AI=人工知能を使った人事評価のシステム。
一見、それ何だ?と思いがちですが、内容はすごいです。
まず管理者、上司が社員の売り上げや作業量などの目標を設定。
社員はこの目標に対し、どう進めていくかアクションプランを書き込みます。その内容をAIが「添削」という形で分析し、評価されやすい数値目標などを入力するようサジェストするというシステムです。
このシステムのメリットは、リモート状態の上司と部下が、成果を明確に数値化した目標をAIを活用して設定、共有して、進捗を確認しながら正当に評価できる点です。
以下、長い引用になりますがご紹介します。
人事評価のシステムを提供する会社「あしたのチーム」の堤雄三取締役は、「今まで物理的に自分の近くにいて、仕事をしているかどうか確認できたが、物理的にそれが見えない中で、社員は自分自身がきちんと認められているか、雇用側は社員がきちんと仕事しているだろうかと、ストレス抱えた企業からの相談が増えている。経営者側と従業員側のつながりがすごく弱くなる。物理的な影響が出ているので、つながりを担保する仕組みとしてもすごく今、重要な役割を果たすと思っている。テレワークというのが、中小企業において、人事制度をきちんとやらないといけないというきっかけになっていると思う」と話していました。
これはとても重要な論点なので、長いですがそのまま紹介しました。
テレワークをカッコだけ導入しても、成果を出してビジネスとして回さなければ、全く意味がありません。
遠隔という制限された環境の中で、いかに上司と部下が意思疎通して、業務を円滑にし、成果を最大化できるか。
そのために、最新システムの力を借りて、理想的なテレワーク体制を実現しようという試みがこうして進んでいるのです。
テレワーク監視は一時的?
さて、ここまでお読みいただいて、

最新のシステムはすごいけど、
常に監視されてる感じでしんどいかも。
と、ちょっと嫌悪感を感じた方もいるかも。
それもそのはずで、自宅にいるにも関わらず外の人に自分がどんなことをしているか把握される、というのはあまりいい気はしないものです。
それに対し、記事中で「今は過渡期」と主張するのが、「リクルートマネジメントソリューションズ」の武藤久美子シニアコンサルタントです。武藤さんは「新型コロナウイルスの厳しい状況の中、とにかくやってみようというのが今の現状」と指摘します。
その上で、
テレワークを導入した時点では、企業は細かく社員を管理しようという心理が働きがちだが、今後、このぐらい見ておけば大丈夫という折り合いがつけられるようになってくるのではないか。互いが自分たちの状況を発信したり、周囲に気軽に話せる環境が大事だ。
と、今後の流れを見据えています。
テレワーク黎明期と言える今の段階では、テレワーカーの働き方の実績が蓄積されておらず、マネジメント側とワーカー側との信頼関係はまだ不十分。
そのため、今は最新のテクノロジーを活用して、在宅でも安定的に成果を出してもらうまで様子をうかがう段階と言えます。
そのため、ワーカー側からすればただでさえ在宅勤務が不慣れであるうえに、仕事ぶりを追跡されるシステムの中にいると、「監視」されると捉えても無理はありません。
時間が経てば、お互いが仕事環境に慣れて、システムに頼らなくていい信頼関係ができあがる。
これが、テレワークの理想的な仕事の進め方といっていいでしょう。
おわりに
テレワークを進めるうえで開発され導入が始まった勤務管理システムには、最初のうちは戸惑いがあるでしょう。
しかしながら、急な展開で取り入れられたテレワークが浸透していくにつれ、仕事の進め方やコミュニケーションのあり方も進化し、管理者側、ワーカー側双方にとり最適なところで落ち着くものとみられます。
武藤シニアコンサルタントはインタビューをこう締めくくっています。
ポストコロナでは働き方や人のつながり方、ビジネスのつながり方、作り方が変わり、成果を改めて定義しないといけない日がくるのではないか。多くの企業でもう一度見直す必要があると思う。
危機的状況の中で始まった新しい働き方の仕組み。
これからも人々の叡智を結集して、テレワークは進化していくことでしょう。