2020年になり、テレワークが全国に浸透してきました。
そのきっかけは、皮肉なことに新型コロナウィルスの感染拡大防止対策だったわけですが、あっと言う間にテレワークが働き方改革の一つとして認知されてきた印象があります。
最近、テレワークを始めた人の中には、

もうこのままずっとテレワークを続けてないな。
とか、

もう毎日会社に通勤はしたくなくなっちゃった~。
など、すっかりテレワーク慣れしてきた人もいるかもしれません。
そんな中、テレワーク社員の90%以上が、このままテレワークを続けていたい、とするデータが発表されました。
今回は、そのニュースを参考に、テレワークをしている人たちの思いに迫るとともに、テレワークの今後を占ってみたいと思います。
テレワークに一度慣れたらもう通勤はしたくない?
というわけで、まずはこちらの最新ニュースをご覧ください。
テレワーク社員の9割以上が、その定着を望んでいる――。職場に出勤せず自宅などで仕事をしている会社員を対象に行ったアンケートで、実際の従事者のあいだでは、圧倒的にテレワーク支持派が多いことがわかった。企業文書を電子化・ペーパーレス化するクラウドサービスを提供するペーパーロジック株式会社(東京都品川区)が調査した。
出典:J-CASTニュース
この調査は、2020年3月2日と3日に東京都内在住でテレワークを行っている会社員を対象に、インターネットで実施され、111人から有効回答を得たものです。
テレワークは労働者側にとっては好感を得ているのがわかります。詳しくは後章でお伝えするとして…
テレワーク化は、働き方改革の目玉の一つで、これまではゆるやかにその流れが進行していたのですが、ここ最近のコロナ騒動により、一気に対象者がひろがり、予想以上の勢いで受け入れられているようです。
今回の調査をさらに紐解いてみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業からテレワークが推奨されたかを聞いたところ、「強く推奨された」(42.3%)、「推奨された」(44.1%)を合わせ、86.4%にのぼっています。
ほとんどの企業でテレワークが推奨され、実際にテレワークを採用された企業では、社員に前向きに受け入れられている実態が見えてきます。
浮き彫りになった課題
その一方で、この調査では、テレワークの問題点も浮き彫りにしています。記事から引用してみました。
しかし、実際にテレワーク勤務をしてみて、課題を感じる点は少なくないよう。「対面よりコミュニケーションが難しい」ことを45.9%が指摘。また、書類に社判や社印が必要なときに承認・決裁がとりにくいことを挙げた人が28.8%いた。「ツールが整っていなくて非効率」(24.3%)、「運用が整っていなくて非効率」(21.6%)などの指摘は、導入がまだ試行の段階であることをうかがわせる。「特に課題はない」は、25.2%だった。
出典:J-CASTニュース
課題として、ツールや運用の整備がまだ行き届いておらず「非効率」との声が上がっていることがわかります。
具体的には、遠隔ゆえに業務中のコミュニケ―ションがむずかしいこと、承認・決裁のプロセスでのハードルの高さなども指摘されています。
そのほか、このような意見も寄せられています。
・アクセスできる情報に制限がある
・郵便物などの確認ができない
・Wi-Fi環境は自己で、私用のために整備したものであって業務用ではないので、業務用の通信量に堪えないケースもある
テレワークを実際に経験したことで見えてくる課題が並んでいます。
ほぼ100%に近い「支持率」
現状ではテレワークの普及は手探り状態で進んでいて、解決すべき課題も出てきているのがお分かりいただけたと思います。
そしてここまでお伝えしたところで、今日の本題に戻りましょう。
勤務は、「職場勤務」並みの環境実現にはまだ時間がかかりそうだが、調査で「勤務先で今後、進んで欲しいか?」聞いたところ、「強く思う」(55.9%)、「思う」(40.5%)を合わせ、96.4%が定着を望む意思を表明。「あまり思わない」は3.6%、「まったく思わない」は0%だった。
出典:J-CASTニュース
96.4%…ほぼ100%に近いきわめて高い数値です。
記事によると、「強く思う」あるいは「思う」と回答した人からその理由を募ったところ、94件の回答が寄せられました。その中で多かった意見として、
というように、前向きな声が上がっています。
これらは、テレワークのメリットとして前々から想定されていたことで、実際に体験しているテレワーカーが実感している人が多いことを裏づけています。
そのほかには、今回のコロナ問題に絡んだ回答もありました。
・通勤時のウイルス感染が最もリスクが高いとわかった
・コロナや災害などの有事の際にも有効。日頃から慣れておいたほうが良い
そのほかにも、「育児や介護の促進」、「雇用機会増加につながる」といった意見もありました。
人々の不満が解消された?
これほどの高い「支持率」をはじき出すに至った背景には、既存の働き方に対する「不満」があることは間違いはありません。
例えば前述の3つの意見、
・通勤ラッシュからの解放された
・交通費が節約できた
これは裏を返せば、これまでは、
ということに他なりません。
テレワークの実現は、
と言えるのです。
「やめられない」より「やめたくない」
テレワークに慣れたことで、この状態を続けたい、やめられない、という心情よりむしろ、
「やめたくない」
という、旧来の働き方に回帰したくないという強い思いが浮かび上がります。
これは、時代の変わり目を予感させます。
時代とは、人々のたまりたまった不満にシステム変更が追い付いたときに、一気に加速するものです。
このような圧倒的な「世論」を味方につけ、テレワークはさらに進化し、課題を克服して「最適化」の道を進んでいくことでしょう。
おわりに
というわけで今回は、多くのテレワーカーがテレワークの継続を望む、という興味深く、ある意味衝撃的でもあるデータをご紹介させていただきました。
仕事をする=会社に出勤する、という固定概念は、そう簡単に崩れることはないと思います。
しかし、会社以外でも立派に働きなおかつ成果も出せる、という新たな価値観がいま確実に育ちつつあります。
そしてその価値観が有効であることを、これからたくさんの成功例が証明していくことでしょう。