新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から、在宅勤務になった方は数多くいらっしゃると思います。
その一方で、会社からは自宅待機を命じられた、という方もいるでしょう。
最新のニュースにこういったものがありました。
ソニーは27日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、テレビや半導体などエレクトロニクス部門を中心とした全国の社員約2万人を原則、在宅勤務にしたと明らかにした。4月末までの予定。これまでは推奨にとどめていたが、26日夜に社内通知を出して対応を強化した。
4月1日に入社する新入社員も入社後1カ月程度は自宅待機とする。インターネットを介した形などで研修を行うことを検討している。
ソニーは本社で実施する予定だった入社式を取りやめることも既に決めている。
出典:共同通信
この記事の中で、「在宅勤務」と「自宅待機」という言葉が出てきましたね。
この2つ、意味が似ているような感じもしますが、意味はわかりますか?

違いはなんとなくのイメージはあるけど、
詳しく知りたいんだよね。
いきなり結論を言いますと、
・自宅待機→業務は与えられず自宅にとどまる
正直言って、多くの方が思っている通りだと思います。答えはとてもシンプル。
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そこで今回は、在宅勤務と自宅待機の両者の定義をさらに深掘りしながら、その違いを明確にお伝えしていきます。
そして後半では、やはり気になる「自宅待機なら給料はどうなる?」という疑問についてお答えしていきます。
どうぞ最後までお読みいただければと思います。
在宅勤務とは?
まず、在宅勤務とはどういうものか見てみましょう。
まずはウィキペディアではどう紹介されているのでしょうか?
在宅ワーク(ざいたくワーク)、あるいは在宅勤務(ざいたくきんむ)とは、自宅を拠点として仕事をすること。テレワークの一種。
雇用関係のある場合とない場合に大別される。前者の場合は、社員がノートパソコンを自宅に持ち帰って仕事をする、あるいは出社せずに自宅で仕事をするようなケースであり、後者は業務委託・請負的なケースである。小規模個人事業者としたSOHOが、在宅ワークと呼ばれるケースもあるが、SOHOが事業のスタイルを表すのに対して、在宅ワークは勤務のスタイルを表す。
今話題になっている在宅勤務は、新型コロナの感染拡大を防止するための対策として、従業員に対し、出社せずに自宅で仕事をするように求めているわけです。
なので、
2・出勤時と同等の給与が支払われる
ということになります。
そうなりますと、
ということも言えそうです。
テレワークとの違いは?
そうなると気になるのは、最近頻繁に目や耳にするようになった「テレワーク」との違いです。
前述のウィキペディアでは、在宅勤務もテレワークの一種とありましたが…
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所に制限されずに業務をするような就業形態のことを指します。テレワークは在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなどが含まれます。
出典:ITトレンド
つまり、テレワークとはとてもひろい概念で、従業員でもフリーランスでも該当する業務形態になります。
また、「自宅」でなくても、「シェアオフィス」でも「コワーキングスペース」で仕事をしても、IT環境が整備された中での業務はテレワークということになるわけです。
自宅待機とは?
自宅待機について、辞書にはこのように記載されてました。
何らかの理由で自宅にいなければならないこと。感染症の蔓延 (まんえん) 防止のために出勤・登校を停止させる、規則に違反した従業員の出勤を停止させる、業務の減少のために従業員の出勤を停止させるなど、理由はさまざまなものがある。
出典:goo辞書
つまり、
2・出社しないで自宅にとどまる、
ということですね。
今回のコロナウィルスによる対策は、まさにここに述べてある「感染症の蔓延 (まんえん) 防止のために出勤・登校を停止させる」に該当します。
しかし全体を読むと、すごくネガティブな意味合いが強いのが分かります。
出勤停止とはどう違う?
ここで思い出されるのは、処分の一環である「出勤停止」との違いです。
それについては、こちらを見てください。
何か問題が起きたとき、調査を行ったり、懲戒内容を決めたりするまで出勤をさせない間が自宅待機です。自宅待機は処分ではなく、処分を行うまでの経過の一工程と言えるでしょう。
一方で、出勤停止は反省を促すための処分の内容そのものになります。自宅待機中に問題の調査・処分内容の検討を行い、出勤停止という処分を下します。
出典:SHARES LAB
つまり、
・出勤停止は懲戒処分(処分済み)
ということになります。
自宅待機はあくまで業務命令なのですが、今回のような、何らかの不祥事を起こしたわけでなく感染対策として実施する場合も、自宅待機という用語が一般的に使用されているので、少しまぎらわしいですね。
自宅待機=悪いことをした、というイメージが強いので、自宅待機命令には心情的にあまりいい気がしないのは、ある意味当然のことです。
冒頭のソニーの記事では、まだ会社で仕事を始めていない新入社員に対して「自宅待機」という言葉が使われています。
もちろん急な決定ですので、他に適切な言葉を充てるいとまもないのはもちろんですが、自宅待機の意味を理解している人からすれば、「新入社員が何かいけないことをした」という印象をもってしまうこともなくはありません。
自宅待機でも給料はもらえる?
自宅待機で気になるのは、会社から「自宅待機」(在宅勤務ではない)を命じられたとき、給与は発生するか?ということ。
結論から言うと、今回のコロナ対策の一環としての自宅待機の場合、
まずこちらをご覧ください。
従業員と雇用主との間の雇用契約は、従業員が労働力を提供し、その見返りとして給料が支払われるというものです。 したがって、従業員が労働力を提供しない場合には、給料が支払われないのが原則となります(ノーワークノーペイの原則)。
したがって、伝染病にかかった従業員を自宅待機させる場合は、給料は発生しません。
出典:しごとの法律ガイド
これだけ読むとちょっと残念な気にもなります。
感染しても手当てが出ない…
ただ、労働基準法第26条にはこう記されています。
さらに、
新型コロナウイルスに感染しているかどうか分からない段階で、発熱などの症状がある従業員を一律に、会社の判断で自宅待機させるような場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」となり、勤務先が休業手当を支払う義務が出てくる。
つまり、会社の判断で従業員を休ませる、という措置をとった場合は、手当の対象になり得るということになります。
ただし、
新型コロナウイルスは指定感染症(2類感染症相当)となっているため、新型コロナウイルスに感染している、都道府県知事による就業制限の対象となった従業員を休ませても、この規定には該当せず、会社には休業手当を支払う義務はない。
法律のややこしい部分が出ましたね。現行法上は、新型コロナウイルスに感染してしまった従業員は、手当を支払う義務がないとのこと。

では新型コロナウイルス感染者は
泣き寝入りしないといけないの!
と言いたくなりますが、会社員であれば、健康保険から傷病手当金を受け取ることが可能です。
傷病手当金は、会社員が病気やケガで仕事を休んで、会社から給料をもらえなかったり、減額されたりした場合の所得補償。仕事を連続して3日休んだ後の4日目から、最長1年6カ月間に、実際に休業した日数に対して給付される。1日あたりの給付額は、平均的な日給の3分の2だ。
傷病手当金は、入院や通院をしていなくても、自宅療養でも「労務不能の状態」が認められれば対象になります。
ただ、仕事ができない状態であるかどうかは医師の判断になるため、新型コロナウイルス感染者でも、医師の診断書(意見書)が必要です。
とは言え、現時点(3月29日現在)では、医療崩壊を避けるために、医師の診断を受けず、自宅療養することで感染の拡大を防ぐことが求められている状況。
新型コロナウイルスに感染したとしても軽症のまま完治するケースも出てきますので、会社が労務不能の状態であると認めた場合には診断書なしでも傷病手当金を受けられるよう検討が進められています。
おわりに
今回は、在宅勤務と自宅待機の違いについてお伝えしました。
自宅にいて仕事をするかしないでいいかの違いですが、仕事があることの喜び、ありがたさを感じさせます。
緊急事態時ではありますが、自宅にとどまる時間、意義あるものにしたいですね。