良いものを広めたいという落とし穴

心理学
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私たちは常に、何かを信じて生きています。

それが人であれ、モノであれ、価値観であれ、全面的に肯定している素晴らしいものがあることで、安心感を得られます。

それらの価値を自分の中で高めることで、心は充実感に満たされます。

特定の人やモノや価値観などにのめり込むと、

1人でも多くの人にその良さをわかってほしいと願い、

世の中に広めていきたいと考えるのは、自然な心理です。

そして、それを生きがいにしておられる方も、数多くいらっしゃることでしょう。

しかしこの世の中は、様々な人が様々な意見や感情を持っていて、

全ての人が同じ方向を向くことはありません。

良いものとは、自分にとって良いものであり、

この世に生きる全ての人にとって良いもの、というわけではありません。

良いことを広めたいという気持ちには、良いことを世間に普及させたいという使命感ももちろんありますが、

自分が良いと信じたものを、他の人も信じて欲しい、つまり、

良いことを信じているんだ、という自分自身の正しさを、他人を通して、強化したいのです。

これだと、手段と目的があべこべです。

自分と同じものを信じてくれることでほっとしたい、という目的のために、

良いものを広めるということが、手段になってしまうのです。

そして、自分がこれほどまでに良いと思っているのに、他の人は、関心がないということがわかると、

その人を嫌悪したり軽蔑をしたりと、人格を疑ってしまうようなことを、してしまうのです。

これは、誰もが陥りがちな落とし穴と言えるでしょう。

自分が良いと思うものを受け入れてくれるかは、相手の気持ち次第であり、

私たちはただ、きっかけを与えるしかできません。

自分が、これは良いと信じたものを、わかってもらうために、いかにきっかけを与えていくか。

これは、相手の立場を理解し、自分の思いをコントロールしながら伝える、という、

コミニケーションスキルが磨かれていく絶好のチャンスでもあるのです。

良いものを広めたいという、本来的には素晴らしい行為を、

正しいコミニケーションを駆使して、実現していただきたいと思います。

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