電話世論調査について簡単に RDD方式とは?自動音声で質問?

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テレビ、新聞等でさかんに報道される世論調査。どうやって調査するんだろうと疑問に思ったことはありませんか?

その疑問は、実際に世論調査を受けてみることで、解決します!

日曜日の朝、PCを開き、ちょっと仕事するか~と思った矢先、自宅の固定電話が鳴りました。出てみると、自動音声によるガイダンスが流れ、「世論調査です」と一言。

なんと、世論調査のサンプルに我が家(の電話番号)が選ばれたのです!

こういう機会は滅多にないので、全ての質問に答えました。電話世論調査の手法と質問パターンが、実際に体験することでかなりよくわかりました。

というわけで今回は、電話世論調査の仕組みと実際に受けた質問内容についてレポートしたいと思います。

 

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1 そもそも世論調査とは?

早速調べてみました。

 

主にマスメディアが、政治的・社会的な問題についての国民の意見を調査するために行う調査。公表されるものの殆どは政党支持率・内閣支持率に関するものであるが、社会問題や芸能・スポーツに関する話題への意見調査も度々行われる。

出典:ニコニコ大百科

 

つまり、

 

国民がどういった意見を持っているかを、
第三者的な立場のマスメディアが
公正かつ正確に調査する

 

これが世論調査です。

 

頻繁に行われる内閣・政党支持率調査では、大体1000~2000本の固定電話にRDD方式調査を行うのが一般的であり、新聞社・テレビ局の違いに関わらずこれぐらいの本数で安定している。回答率は大抵60%前後。

出典:同上

 

「世論」だからといって、全国民から意見を聞くわけには到底行かないですよね。

国民の中から「抽出」した約1000~2000人にアンケートを取っているわけです。

そこで、「たかだか1000~2000人に聞いたところで、調査結果に信頼性はあるのか?」という疑問が沸きますが、統計学上は、1億人の意見を調べようとすれば2000人に調査すれば十分とされています。

 

2 メディア名を名乗らない?

 

私が今回世論調査に協力して得た最大の気づきは、電話先が自分たちの会社名を名乗らなかったことです。

もちろん中には名乗っているメディアもあるのでしょうが、今回受けた電話では、最初から最後まで、一切名乗りませんでした。

私見ですが、これには、以下の理由が考えられます。

 

2-1 「嫌いなメディア」は拒否される

 

インターネットの普及によりひとりひとりのメディアリテラシーが上がった今、有権者の目は肥えていて、自分の思想信条に合ったメディアを選別できるようになっています。

例えば、主要メディアを例にとると、さっくりとですが、

保守系=読売新聞、産経新聞

リベラル系=朝日新聞、毎日新聞、東京新聞

中間系=NHK、日本経済新聞

となりますね。

保守系の思想を持つ人にとっては、自分とソリが合わないリベラルの新聞には嫌悪感を感じやすく、またその逆もしかりです。実際に紙面を読むと、自分と異なる意見が述べられているので、拒否反応を示すこともあります。

なので、電話先が「○○新聞です」と名乗ったときに、「自分の嫌いなメディアだ!」となればガチャ切りされてしまう可能性もあるのです。

逆にメディア名を伏せることにより、質問者の出自がわからないので、回答者は、相手が嫌いなメディアであっても調査に協力することになります。

 

2-2 恣意的な回答がされかねない

 

理由1に重なる部分が多いのですが、どの新聞がどんな論調かをわかっている人が多いので、その論調に反する回答をする意地悪な人も出るおそれがあります。

つまり、メディア各社に対する好き嫌いがあるために、例えば嫌いな新聞社から調査を受けた場合、「この新聞社的に望ましい世論調査結果にならないように」と、あえて自分の本音とは異なる回答をするということ。

本人にとってはいわゆる「バランサー」気取りになりますが、メディア側からすると、調査対象者の本音を取材できないため、正確なデータ収集の原則が崩れてしまうことになりかねません。

電話調査に来たのがどのメディアかわからないのであれば、相手へのバイアスがないまま淡々と質問に答えることになりますから、そのひとの正直でリアルな回答を引き出すことができる、というわけです。

 

3 RDD方式とは?

 

そして今回受けた電話世論調査は、「RDD方式」という手法が使われていました。テレビの世論調査報道を見てると目にすることがあるRDD方式とは、一体何なのでしょうか?

 

3-1 RDD方式は何の略?

 

「RDD」とは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、直訳すると「無作為番号架電」となります。コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する、という方法です。

 

3-2 かつては電話帳から選んでいた!

 

電話による定例の世論調査は、1987年に日本経済新聞社が行ったのが最初。当時は電話帳から標本抽出(調査相手を選出)していました。これはものすごく手間暇がかかる作業だったと想像できます。

そして時代は流れ、個人情報保護の観点から、電話帳に登録しない世帯が増えました。電話帳のみに頼る標本抽出が難しくなったため、1997年の毎日新聞社を皮切りに、各社がRDD方式を採用するようになります。

 

3-3 RDD方式のメリット

 

まず考えられるメリットとしては、電話帳に掲載していない世帯も調査の対象になり、対象者の分母は、増えること。さらに、電話帳をパラパラめくりながら番号を抽出するという面倒な作業がなくなるため、スピーディーな調査が可能になります。

そして最大のメリットは、個人の思想信条が特定されないということです。

電話帳には住所・氏名が記載されていますので、調査した人物が誰で、どんな意見を持っているかを、メディア側が知ることができます。

しかしRDD方式では、番号のみが抽出され住所・氏名は一切不明なので、相手がだれかわからないまま、調査内容のみが回収されることになるわけです。

 

3-4 RDD方式のデメリット

 

何と言っても現代は、固定電話よりも携帯電話が主流の時代。携帯のみで固定電話を契約していない世帯も多いのが実情で、このような人は調査対象から漏れることになります。

さらに、住所・氏名が不明なので、事前に郵送等による調査への協力依頼ができません。従って、調査相手の「心の準備」がないままいきなり電話がかかるので、回収率が伸び悩む要因になります。

近年は、相次ぐ電話詐欺事件を受け、「知らない電話番号からは出ない」という人も多く、電話による世論調査自体が岐路に立たされていると言えるでしょう。

 

 

4 今回受けた質問内容(2019.4.21)

 

それでは、今回の電話世論調査で実際に私が受けた質問をすべてご紹介します。調査日は2019年4月21日(日)です。

各質問には、回答のための選択肢が番号つきで用意されていて、該当する番号のプッシュボタンを押すと、次の質問に移る、と言う流れです。全部で8問ありました。

 

4-1 安倍内閣を支持しますか?

 

いわゆる内閣支持率の調査ですね。「支持する」は1、「支持しない」は2、「わからない」は3でした。

4-2 どの政党を支持しますか?

 

続いては政党支持率の調査。「支持政党なし」が0、以下自民1、立憲民主党2…と続きます。

 

4-3 参院選は与野党どちらに投票しますか?

 

この夏の参議院議員選挙に与野党どちらに投票するか聞いています。「与党」が1、「野党」が2、「どちらとも言えない」が3。

 

4-4 地元の選挙区は誰に投票しまうか?

 

地方選挙区の現時点での立候補予定者のうちに、誰に投票するつもりか聞かれました。予定者の実名は割愛します。「A候補」は1、「B候補」は2、その他は3。

 

4-5 参院選比例区はどの党に投票しますか?

 

比例代表の投票先について。「自民党」は1、「立憲民主党」は2…と続きます。

 

4-6 今回の参院選に関心はありますか?

 

参議院選挙への関心度を聞いています。「大いにある」は1、「ある程度ある」は2、「あまりない」は3、「まったくない」は4。

 

4-7 あなたの性別は?

 

私の性別を聞かれました。「男性」は1、「女性」は2。

 

4-8 あなたの年齢は?

 

最後の質問は年齢について。「10代」は1、「20代」は2…と続きます。

 

 

5 まとめ

 

音声ガイダンスのみの通話だったので、質問は淡々と進み、調査はだいたい3分くらいで終わりました。今取り込み中で忙しい人は回答せずに切ってしまうのは仕方がありませんが、さほど長い時間ではありません。

実際調査を受けてみて「時間を取られた」と感じることはなく、調査が終了すると一方的に切れてしまったので、むしろ物足りなさを感じた(もっと質問すればよかったのにと思った)ほどでした。

オペレーターが直接質問する旧来型の形式だと時間がかかってしまうばかりか、「一言モノ申す系」の人が出てしまったら、質問内容への不満、政治家や政党への愚痴や、メディアに対するクレームなどを延々と聞かされることもあるのでしょう。

しかし相手が音声ガイダンスのみであれば、そういった文句は出ないでスムーズに調査は進みますね。

RDD形式の電話世論調査は、AI時代ならではのスピードと効率の良さに加え、生身の人間に意見を伺うがゆえに生じる様々な摩擦を避けるという、現代社会の一端が垣間見える調査手法と言えそうです。

 

 

 

 

 

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