今いる会社を退社して新たな人生を踏み出したと思っておられる方も多いでしょう。
でも、会社を辞めるって、そう簡単ではないですよね?
もちろんやらなければいけない手続きが多く事務的なハードルもありますが、それにも増して、人間関係に角を立てることなく円満に退職するのは、容易ではありません。
そんな中、大きなニュースが飛び込んできました。
元SMAPの中居正広さんが、所属するジャニーズ事務所を3月に退所してフリーとして独立することを発表しました。
タレントの中居正広さんが21日、東京都内で記者会見し、3月いっぱいで所属のジャニーズ事務所を退所すると発表した。中居さんは「ここまで押し上げてもらえたのは会社のおかげ」と同事務所への謝意を述べた。
出典:時事通信社
「時間無制限」と銘打ち、実際に2時間以上に及んだ会見は、終始和やかな雰囲気で、中居さんの人柄がよく表れていました。
そして会見を見る限りでは、中居さんは円満退社のお手本のような言動を示されたように思えました。
今回は、中居さんから学べる円満退社の秘訣をご紹介していきます。
中居正広さんに学ぶ円満退社の秘訣7選
中居さんの会見から見える、サラリーマンが円満退社する秘訣はこちらです。
・タイミングを見極める
・恩人への恩義を行動で示す
・先輩を立てる
・後輩を尊重する
・会社への貢献度を認識させる
・笑顔で送り出してもらう雰囲気を作る
順にご紹介していきましょう。
前向きな退社理由を作る
退社の理由として中居さんは、「環境を変える」ことを挙げています。
会見では今回の決断の理由について、「解散したあと、意欲というか、『よし次』という感じにならなかった。環境を変えないといけないなと思い、自分1人で決めました」などと述べ、去年の5月ごろから事務所に相談してきたと説明しました。
出典:NHK NEWS WEB
このままではいけない、自分を成長させたい、という極めて前向きな理由です。
退社の裏理由としてよくある「人間関係のこじれ」は、会見を見る限りは一切感じませんでした。
実際にどのような経緯があったかはわかりませんが、会見は明るい雰囲気が終始流れ、ユーモアもふんだんに盛り込まれ、中居さんの独壇場と言えました。
会社への不満はなく、あくまで自分の人生を冷静に振り返り、現状を見つめた上でベストな決断を下したというわけです。
タイミングを見極める
円満退社で最も大切なのはタイミングです。
この円満に会社を出るタイミングというものには明確な正解はなく、人それぞれ置かれた立場が違うので、ベストタイミングを見極めるのはとても難しいです。
中居さんの場合は、後述するように、人生の恩師でもあるジャニー喜多川さんが亡くなられて時間を置いてからの退社決断表明となりました。
恐らく亡くなられた直後であると、「空気を読めない」「この大変な時期になぜ?」といった批判を受けたことでしょう。
またあれほどの売れっ子タレントですから、事務所外の関係者やスポンサーへの配慮も必要です。
中居さんの退社に対し、事務所側から大きな反対や引き止めもなく、まして単独での記者会見を認められた背景から察するに、退社のタイミングは十分に計算されたことは想像にかたくありません。
恩人への恩義を行動で示す
これも円満退社するうえで欠かせません。中居さんにとって恩人とは言うまでもなくジャニーさんです。
また、去年7月に亡くなったジャニー喜多川さんの遺骨を持参し、「人間的にもショーを作る側としても多くを教えてもらいました。そのジャニーさんに力を分けてもらおうと思って遺骨を持ってきました」と話していました。
出典:NHK NEWS WEB
中居さんがSMAPの他の3人と行動を共にせずいったんはジャニーズに留まったことで、解散騒動を巡り迷惑をかけたジャニーさんへ筋を通した形になりました。
木村拓哉さん以外の、事務所独立を画策したとされる4人が全員事務所を出るとなると、内情はどうであれ育ての親に反旗を翻して袂を分かったというイメージが残り続けます。
それを避けるため、リーダーの中居さんは事務所に残り、批判を最小限にするとともにジャニーさんの面子を立てた結果になりました。
この立ち振る舞いが信頼性を高め、満を持しての円満な退社につながったのです。
先輩を立てる
中居さんはかねてより尊敬する先輩として少年隊の東山紀之さんの名前を挙げていました。
会見でジャニーズの先輩には報告しましたか?と聞かれた時、中居さんは立ち上がり、机の前に出て、東山さんとの電話のやりとりを演技を交えて再現しました。
そして、東山さんからは、特に反対もなく背中を押してくれる言葉をくれました。
ここに、中居さんの先輩に対する最大限のリスペクトが見て取れます。
先輩タレントに対する敬意と気配りを日頃から見せることで、いざ大きな決断をしたときに後押しをしてくれるのです。
特に東山さんのような会社内でも影響力の大きい先輩を味方につけてエールを送ってもらうところに、中居さんの普段からの社交性の高さを窺い知ることができます。
後輩を尊重する
中居さんの気配りは先輩だけにとどまりません。多くの後輩にも向けられています。
会見で中居さんは、ジャニーズ事務所の後輩で現在は事務所副社長を務める滝沢秀明さんとのエピソードを披露しました。
ジャニーさんの葬儀に参列できない代わりに、「骨をかっさらってほしい」と滝沢さんに依頼したのです。
快く応じた滝沢さんは、ジャニーさんの遺骨の一部を中居さんに渡しています。それが前述した、会見場に持参したものです。
ジャニーさんの骨片を入れた小さなカラス瓶をポケットに忍ばせ、中居さんは会見に臨んでいました。
このエピソードには、滝沢さんの気さくでかつ誠実な人柄が垣間見えます。またこのエピソードを打ち明けたことで、中居さんが後輩の男気に敬意を表していることが伺えます。
後輩でありながら今や上司である滝沢さんの人間性も会見を通し広く知れ渡る結果となり、
会社への貢献度を認識させる
ジャニーズの歴史の中で、SMAPの貢献度は多大なもので、これは事務所内だけでなく、世間一般の認識でもあるでしょう。
90年代以降の日本の芸能史に燦然と輝くスーパーグループがSMAPでした。
これだけ貢献したのだから、これからは本人の自由にさせてあげよう、というコンセンサスが事務所内外で形成されることが想像に難くないほどの圧倒的な実績です。
世の一般的なサラリーマンは、これほどの誰もが認める多大な貢献をしてきた、という人は少数でしょう。
しかし、全く貢献してこなかったということはないはず。
自分がどれだけのことを会社にもたらしたか。これをまず自分自身が十分に認識することです。
退社するときにはどうしても後ろめたくなるのは、自分のこれまでの功績に自信が持てないから。
どんなポジションであれ、会社に対してそれなりの役割を果たしてきたことに、まずは胸を張るべきです。
笑顔で送り出してもらう雰囲気を作る
以上のような行動の積み重ねによって、中居さんはいざ独立して自分の道を進む、という決断をしたときに、妨害されることなく周りから応援してもらう、という最高の状況を作り上げました。
繰り返しますが、この「笑顔で送り出してもらう」ということは、退社を決めてから慌てて努力しようとしても無駄で、日々の積み重ねの賜物になります。
もちろんそれは中居さんの、人に対する面倒見がよく気配りができるお人柄も大きいです。人間性を磨き続けることの大切さをこの会見では教えてくれます。
このまま事務所に残り続ければ、現在47歳の中居さんにとり、これから人生も安定したものになっていたでしょう。しかしただ仕事をこなしていくという時間の過ごし方をしたくない、決意も会見から見て取れました。
「新たな環境に身を置き自分を取り戻したい」という中居さんの気持ちがよくわかる素晴らしい会見だったと思いました。
おわりに
それにしても、国民的スターとして長年君臨してきたのは紛れもない事実なのに関わらず、傲り高ぶりが一切ないのが中居さんのすごいところ。
タレントとしての実力はもはや誰もが認めるレベルであるものの、自分の実力だけでやってきたと勘違いせず、決して謙虚さを忘れてない中居さん。色んな人に配慮した発言ができ、それが会見に随所に表れていました。
さらに、応援してくれた方々、とくにSMAP時代からのファンの方々への気遣いにも溢れ、誰もが納得できる形の引き際でした。
このように、中居さんの会見は、円満退社のヒントに溢れたものでした。
今回の記事が、独立を目指している方の参考になれば幸いです。
そして、中居さんの今後のご活躍を心より応援させていただきます。