最近あなたは泣きましたか?
これは男性と女性とでは、答えは大きく異なると思います。女性の方であればそれなりにあるかもしれませんが、男性では稀です。男性である私は、そのような経験は人生においてほんの数度で、目から涙が零れ落ちるということは滅多にありません。目に涙が貯まることはありますが。
そんな私でも、涙か出た後は、たしかに「スッキリ感」があります。何か窮屈になっていた心にちょっとすき間ができたような感覚は確かにあります。
今回は、涙を流すとどうしてスッキリするのか?とういう疑問にお答えします。そしてどういうときに泣くか、どうすれば意識的に涙を涙を流せるか、なども解説していきたいと思います。
涙にはストレス解消効果がある
涙の中でも、ストレス解消に効果的なのは、感動したとき、悲しいときに流すものだそうです。そのときの涙には、
東京女子医科大学が行った研究によると、涙を出す前後に血液中の副腎皮質刺激ホルモンを測定したところ、涙を出したあとには減少することがわかりました。
副腎皮質刺激ホルモンとは、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンのこと。これにより、涙を流すことによってストレスが減り、スッキリすることがわかってきたのです。
このほかにも、それまで交感神経が優位に働いているときに泣くと、副交感神経が優位に切り替わり、リラックスが得られ、ストレス解消効果があるとも言われています。副腎皮質から分泌され、ストレスを受けた時に分泌が増えることから「ストレスホルモン」と言われているコルチゾールが排出されることも確認されています。
また、泣いた後には、脳内で機能する神経伝達物質のひとつ「エンドルフィン」が増え、モルヒネのように苦痛をやわらげてくれる効果があることもわかっています。
涙に関する有名な研究
涙を流すことがメンタル面で効果的であることは、様々な研究者や研究機関がこれまで明らかにしてきましたが、有名なものをひとつご紹介しましょう。
米ミネソタ大学の脳神経学者であるウイリアム・H・フレイ博士は、「涙」に関する著名な研究を発表しています。
フレイ博士が1985年に発表した、「感情的な涙(Emotinal Tears)」の原因と割合を調査した結果によると、人が涙を流す時とは、
②喜び20%
③怒り10%
④その他20%(心配、恐れなど)
ということでした。
日本でも「涙」に関するさまざまな研究が行われる。筆者はそれらを詳細に調べる時間的余裕がなかった。そのため調べられる範囲で、最近の調査結果を集め、平均化してみた。その結果は、①悲しみ47%、②喜び13%、③怒り20%、④その他20%であった。
博士の研究結果から見える高尾は、私たちが流す半分は、「悲しみ」から流す涙ということですね。一方で「喜び」からくるいわゆる「うれし涙」の割合は「悲しみの涙」半分以下にとどまっています。何らかの幸福な出来事に包まれて感極まる涙を流す機会は極めて少ないことが見えてきます。
肯定的な涙と否定的な涙
この研究では、涙には2種類あることが浮き彫りになっています。それは、「肯定的涙(Positive Aspect Tears)」と否定的涙(Negative Aspect Tears)」です。
この両調査結果に、誰もが自分の人生に於ける「喜び」の経験を当てはめてみれば、納得がいくだろう。成功に感激し、涙したこと、他者に深く感謝し、涙したこと、人生最高の栄誉を得て、感涙したことなどの「肯定的涙(Positive Aspect Tears)」を流したことは、一般的にそれほど多くはなかったであろう。
一方裏切られ、騙され、失敗させられ、怒りで涙したこと、人生最大の悲劇に遭遇し、絶望で涙したこと、愛する肉親を失い、深い悲しみで涙したことなどの「否定的涙(Negative Aspect Tears)」を流したことは、一般的に数多くあるだろう。
涙の研究が示した「核心」は?
そして博士の「涙」にまつわる研究が明らかにした事実は、「涙」を流した結果、
男性の割合が70%
女性にいたっては90%いた
ということです。「涙」を流すことにより、メンタルな面でポジティブな効果を得られることが明らかになったわけです。
カタルシス効果
実際に、失恋したときとか、何かに失敗し大きな壁にぶち当たったときなどに、泣いて気持ちがスッキリした経験は多くの方があるのではないでしょうか。
また、泣きながら思いを言葉に発すると、さらにスッキリした、という方もいるでしょう。
精神分析の分野においても「カタルシス効果」と呼ばれるものがあります。それは、心に秘めていた不安や苦悩、怒りなどの感情を泣きながら言葉にすると、それらの苦痛が解消され、安堵感や安心感を得ることができる、というものです。
涙を無理なく流す方法3選
涙を流すことはストレス解消に役立つことがわかったところで、私自身が実践したことがある、無理することなく涙を流す方法をお伝えします。
音楽を聴く
音楽を聴いて目が潤むのは、習慣です。昔から音楽好きで、様々なジャンルの音楽にふれてきたので、本当にいい音楽に巡り合えた時は、嬉しいし、すうーっと入っていけます。
とくにメロディーが美しい音楽は、心安らぎます。とくに、歌詞が理解できる邦楽の方がいいですね。私は女性ボーカルの方の曲は、夜中に聞くと涙腺がゆるむんですよw
昔のことを振り返る
ひとり部屋を静かにして昔の思い出を頭の中で巡らせます。昔の思い出って、大概美化されているので、いいシーンばかりなんですよね。もちろん悪い思い出もありますが、涙が出るくらい感傷に浸りたいなら、いい思い出の方が断然いいです。
大切な人に思いを馳せる
恋人や配偶者、片思いの人などでもいいですが、人生において「お世話になった人」のことを思う方が、じ~んときやすいです、私の場合は。
「あの人の教えはありがたかったなあ」とか、「あの人のいうこと聞いとけばよかったなあ」と思いを巡らせると、涙腺がゆるみますねw
涙を流す自分を許す
涙を流すことに抵抗のある人は多いです。特に男性は人前で涙を見せるのはみっともないという風潮がまだ根強く残っています。
みっともないと感じるのは、泣くことで周りからの同情を誘っていういる、と見なされるのを嫌うからです。意識的に「お涙頂戴」を狙うのはズルい、という思いがあり、涙を流す許可を与えず、涙を堪えるわけです。
そして涙を堪えることは美徳とされています。このように、泣きたいような精神状態でも、泣く前に他人の目を伺う、という行為をしてしまうのです。
人前で泣くことを厳しく拒み続けるので、一人になっても強くい続けようと振る舞うわけです。
泣きたくて仕方ない時は思い切って泣けばいい。涙が枯れるほど泣いていい。泣くことにゴーサインを出すのはほかならぬ自分自身です。
涙を流すことを許可して、内面から気持ちをリセットすることができれば、新たなステップに移ることは可能です。
おわりに
涙を流す、とは人間に与えられた特性であり、本来は生命活動の一つとして尊重されるべきもの。泣くことを否定されるいわれはありません。
涙を流すことのポジティブな効果はご説明してきた通り。ひとりになり、時間がとれたとき、じっくり涙を流してみませんか?
ストレスを解消して、気分新たに、流れを引き寄せていきましょう!