あなたの目の前に、怒り高ぶった人がいるとします。
その人の怒りを沈めようと、一生懸命頑張って、なだめたり説得しようとすると、
怒りが収まるどころか、さらに激しくなってしまった、ということが起きてしまうことがあります。
大変困ったことではありますが、あなたのできることには限度があるのです。
怒りを収めることができるのはあなたではなく本人自身のみです。
あなたにできることは、相手が怒りを収めるのを「待つ」ことのみです。
そこで思い出してほしいのが、誰もが知っている、「頭を冷やす」という日本語です。
これはとてもよくできた日本語で、怒りの本質をよく表しています。
熱を帯びた、熱い物体を冷やすのに、必要なものがあります。
それは、「時間」です。
時間を置かないと、熱いものは冷えていきません。
時間をかけず、一瞬で冷める、ということはありませんよね。
人間の心も全く同じで、高ぶった怒りの感情は、すぐには元には戻りません。
時間を経ることで、怒りの熱はおのずと冷えていきます。
時間の長さはケースバイケースですが、できるだけ時間を短くしたいのであれば、
怒りを収めやすい環境に、相手を導くことが大切です。
また、怒りに対して、力で対抗したり、話術というテクニックを使って臨もうとすると、まさに火に油を注ぐことになります。
相手の怒りを聞いてあげる、相手の感情を受け入れる、つまり、熱エネルギーを放出させてから、時間をかけて冷却させる、これが、
まさに火を消す「水」の役目そのものです。
というわけで、自然の法則と全く同じで、人間の頭も、時間によって冷やされていく、というわけです。
頭を冷やす、という言葉は、自然の摂理に人間も合わせていこうと示唆してくれている、深い意味を持ってるのです。