「#採用やめよう」が話題!ランサーズの真意は?採用事情は今後どうなる?

フリーランス

日本経済新聞に「#採用やめよう」と題した衝撃的な全面広告が掲載され話題になっています。広告主はクラウドソーシング事業を行う「ランサーズ」。

これに対し賛否両論の声が上がっていて、話題になっています。

令和の時代に、フリーランスとして頑張りたい人にとっては励みになる内容の広告ですが、世間一般ではまだまだ冷めた見方も根強いのが現実のようです。

賛否が渦巻くのは当然話題性があるからで、「働き方改革」が進行しようとしている今の時代に一石を投じた内容であったことは間違いありません。

今回は、広告の内容とその反応を紹介しながら、ランサーズが描く働き方の未来について解説していきたいと思います。

 

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広告全文書き下ろし

では、広告には一体何と書いてあるのでしょうか?全文を書き下ろしました。

今日、日本中で、人材不足が嘆かれています。
少子高齢化という流れのなか、この難題を解決できるのは「採用を辞める」という逆転の発想だと私たちは考えます。
インターネットの力によって、個人は時間や場所にとらわれず、自由に働くことができるようになった。けれど、昭和、平成とつづく画一的な労働観は、根強く残っています。
この世界には、能力を眠らせたまま活躍できていない人材が、星の数ほどいる。フリーランスでも、正社員に負けじと、出会った企業のビジネスに本気で貢献したい、と燃える人が多くいる。彼ら彼女らの力を活かすことこそが日本の未来をつくると信じてやみません。
個が輝き、企業が輝き、もういちど日本が輝く日々へ。私たちランサーズは、世界一のフリーランス・プラットフォームを目指します。企業様は、この機会にぜひ一度ご活用ください。フリーランスのみなさん、本日は#採用やめよう、で私たちの「働き方」について、自由に声をあげましょう。
*逆転の発想という決意をお伝えすべく、逆さでお送りしました。
(原文ママ。読みやすいように改行しています。)

この文章だけで、写真やデザインは一切なし。「逆さま」の全面広告が、日本経済の今を映し出す最大の媒体ともいえる日経新聞に掲載された、というわけです。

さらに広告が掲げられた6月1日と言えば、経団連が定める新卒採用の「選考解禁日」にあたり、ランサーズによる「意見広告」の意味合いが濃い内容になっています。

ランサーズの主張とは?

ランサーズは、フリーランスで働く人たちのプラットフォームとして業界内の地位を高めてきました。秋好陽介社長は、今回の件に対し、ハフポスト日本版の取材に応えています。

みずほ総研の推計によると、現在6600万人ほどの労働人口は、30~40年後には4000万人ほどに落ち込む見通しとなっている。

いまの有効求人倍率も1.6倍と高い水準を保っており、現在の労働力不足が、今後さらに加速する可能性もある。

こうした社会背景を踏まえて、秋好陽介社長は次のように指摘する。

「企業は採用したくても『採用できない』という状態になっています。一方で、フリーランスには優秀な方が多いですし、社員と同じか、それ以上に仕事にコミットする人もいるのですが、企業側が『人を採用したい』という時に正社員が前提となっている。そこに矛盾があるのでないかと思います」

出典:ハフポスト日本版

「新卒一括採用」という昭和・平成にかけて機能してきたシステムが、人手不足が深刻化する令和時代に入り揺らぎ始めていることを見通したうえで、正社員を雇用するという意味での「採用」だけでなく、高い技能を有するフリーランスを「起用」するというオルタナティブ(代替案)があることを周知させる意図がうかがえます。

「採用できない」というネガティブから「採用やめよう」というポジティブへの発想の切り替えにより、企業経営を健全化する別の手段があることを提示しているわけです。

従来の採用制度を否定するのではなく、新しい働き方との共存を目指しているのであり、秋好社長は「採用や正社員、就活がダメだと言っているわけではありません」と念を押しています。

さらに、「いろいろな雇用形態が混ざり合う世界をつくりたい」とし、「1つの会社で正社員をするだけでなく、正社員をしながら業務委託したり、2つの会社で正社員になったり、副業やフリーランスに勤しんだりしてもいい」と多様な働き方を提示し上で、「一つだけに絞ると、個人にも企業にとっても選択肢の幅を狭くしてしまう」と指摘しています。

また、4か月前にランサーズに転職したというクラバヤシテルカズ氏は、自身の「note」の中でこう記しています。

決して採用を否定しているわけではなく、アップデートしたいのは既存の価値観です。「正社員だけが人材」「正社員以外は非正規」だけではない新しい価値観・選択肢が必要になってきていると感じています。

出典:クラバヤシテルカズ

「正社員になりたい」という思いは、先が見えない不確実性の時代にあって、人間のもつ根源的な「安心・安定欲求」からくるものであり、極めて健全な発想で、決してそれは否定されるものではありません。しかし、時代はその価値観のみではもはや通用せず、「新しい価値観」はすでに必要段階に入っていると、クラバヤシ氏の主張からうかがえます。

またクラバヤシ氏は、共に仕事をするフリーランサーは「自身のできることを最大限に活かし本気で仕事に向き合う方ばかり」と指摘。様々な企業にもこの体験を味わってほしいとする一方、個人に対しても、フリーランス・副業・複業といった様々な選択肢があり、経験を積んだり活かしたりしてほしいと呼び掛けています。

 

ネットでは批判の声も

この全面広告が各メディアで報道されて以降、ネット上では批判的な意見も見受けられます。

誰にでもできることをルーティンでやらせるのであれば、アルバイトでもパートでもはたまた正社員でもいい。高度の専門性とスキルの提供がなければ、あえてフリーランスとの契約を高額でするメリットはない。現状ではそれほど極端な専門性を必要とする職種の絶対数が少ない。

フリーランスを使わないといけない、という必然性が見いだせないということですね。確かに、社員の質が充実していれば、フリーランスが出てくる幕はなさそうです。

事業を継続するには定期採用して優秀な人材を育てるのが必須。年功序列の報酬をせず、能力を適正に判断し従業員と会社が納得出来る仕組みが大事です。その上で雇用の形態は従業員の自由にしたら良い。

これは経営者サイドの切実な意見でしょう。会社にとって必要戦力は自前で育てたいもの。愛社精神の薄いフリーランスは信頼に置けないと考える人もまだまだ多いでしょう。

まあ難しいでしょう。フリーランスでも仕事が出来る人がいれば出来ない人もいるから。同様正社員でも仕事が出来る人がいれば出来ない人もいるけど。

フリーランスでも正社員でも各人に能力の差があり、常に優秀な人材を囲えるとは限らないという現実的な意見ですね。

そもそもフリーランスで仕事をして、安定した収入を得られる方は、ほんの一握りの才能やスキルに恵まれた方だけでしょう。そのようなごく一部の方だけに通用する方法を広められても大多数の労働者は収入減になるだけと思います。

フリーランスの間に格差が生じることは今後十分に考えられ、そうなると、フリーランスの魅力を奪うことになりかねないですね。

トラックドライバーをやってるが、事故の補償や賠償の金額を考えたら、会社の保護無しに働くなんて考えただけでも背筋が寒くなる。年収300万の人間が億単位の補償を迫られかねないという非対称性の大きさをどう考えるのか。

これは切実な問題です。セーフティーネットがまだ十分に整備されていないことへの懸念ですね。これは対策が急務でしょう。

このような批判的な意見は、フリーランスを取り巻く環境はまだまだ十分と言えず、社会制度より先にフリーランススタイルをなし崩しに先行させることへの警戒感がうかがえます。

働き方改革はまだまだスタートしたばかり。急速な時代の流れに対し慎重な姿勢を崩さない人が多いと言えそうです。

 

今後の採用事情はどうなる?

昨今、トヨタ社長ら経済界の要人による「終身雇用制度」を見直す発言が相次いでいますが、それは当然ながら、雇用の入り口である「採用」にも影響を及ぼすことを意味します。

今後、仕事の発注者たる企業と、受注する労働者との関係はどうなっていくのでしょうか。

単に労働者が企業に所属しているかどうかを超えて、労働意識の「アップデート」による社会構造の変革が間近に迫っています。

ここでもう一度、前述のクラバヤシ氏のコメントを引用します。

ランサーズが実現したいのは、「働き方の変革」。テクノロジーの進化に伴って、私たち人類の生活が変化したように、ランサーズは、好きな場所に住み、好きな時間に働き、自分らしく稼ぐことができる社会を、インターネットの力によって創造したいと考えています。

出典:クラバヤシテルカズ

インターネットの進化は、従来の会社勤務型にとらわれない自由な働き方のスタイルを可能にしました。それに加え、人手不足、終身雇用の見直しといった社会問題がリンクして、ランサーズが唱える「好きな場所に住み、好きな時間に働き、自分らしく稼ぐことができる働き方」がクローズアップされる環境が整ってきたとみるべきでしょう。

その結果として、毎年恒例行事の「新卒採用選考解禁日」に、今回の全面広告が世に出るという、「現状」と「時代の要請」が重なった「ベストタイミング」が訪れたことになります。

令和の時代に移ったばかりの今は、新しい就業スタイルの導入期であると言えます。活発な議論が湧きあがっているのは、多様な働き方を下支えするセーフティーネットがまだ未整備で、課題点が多いことの証左。活発な議論が交わされ試行錯誤を経ながら、議論の「結論」として時代に真にマッチした雇用と働き方のシステムが構築されて行くと予測します。

まとめ

「#採用やめよう」というセンセーショナルな広告は、議論のたたき台としての役割は果たしたと思います。

広告が述べるように「個」も「企業」輝く日本へ進化していく未来がやってくるかどうか。新時代の扉はまさに開いたばかりです。

 

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