今日は、「諦観(ていかん)」についてお話していこうと思います。
私は、フリーランスで頑張る人、そしてフリーランスとしてこれから頑張りたい人こそ、「諦観」の考え方がとても有効だと思っています。
これだけ読むと、

え、諦めろってこと?

フリーランスはやらないほうがいいということ?
とお思いの方もいるかもしれません。
何せ、言葉の中に諦めるの「諦」の字が入っていますからね。
でも、「諦観」って、実は、全く逆の意味なんですよ!
いったいどういうことかと言いますと…
諦観の意味とは?
諦観は元々は仏教用語です。さっそく辞書で調べてみましょう。
1 本質をはっきりと見きわめること。諦視。「世の推移を諦観する」
2 あきらめ、悟って超然とすること。「諦観の境地」出典:goo辞書
となっています。
2に「あきらめ」とあるので、「何かを断念する」と連想してしまいがちですが、この言葉はやはり1が本来の意味で、これからみなさんに理解していらだきたいことです。
そもそも「あきらめる」とは、「あきらかにみる」が変化したものです。
では、一体何を「あきらかにみる」というのでしょうか。
あきらかにみる
何をあきらかにみるのかというと、それは…
「真理をあきらかにみる」ということです。
大宇宙の真理である因果の道理をあきらかにみる
ということですが、もう少し補足すると、
「物事の因果の道理を明らかに見る」となります。
何か悪いことが起こったり、叶えたいことが叶わないことに対して、現状に腹を立てたり、自分の不遇を嘆いたりしてしまいますよね。
でもただそれだけではなく、「なぜそのことが起こったのか」「叶わないことに何か意味があるのではないか」「叶えることのできない自分とは何か」と物事のすべての原因を明らかに見ることが大切なのです。
私たちがよく人のせいにする例として、職場である人と険悪なムードになったときがあります。「あいつのせいだ」「あの人さえいなければ」と思ってしまいます。
でも、同じ職場にいるのに、別の人はその人と仲良くやってる、ということはないでしょうか?その人の態度や性格が変わったわけではないのに、別の人とは仲良さそうなのに、なぜ自分は…と。
この時こそ、自分がその人と仲が悪くなったという「結果」になったのか、一体どこに「原因」があったのかを考える機会です。
自分が原因だと捉えたら、こう考えるかもしれません。しかし、これだけでは物事の半分しか明らかになっていません。人間関係は相手がいることなので、相手の視点にも立ってみましょう。そうすると、
ということに思い至るかもしれません。この、自分と相手、両方のサイドから原因を探ること、これこそが、物事の因果の道理を明らかに見ることになるのです。
自分ばかり責めても、相手ばかり責めても、まだ物事のせいぜい半分。上から見下ろすように問題を眺めていけば、自分と相手双方に潜む原因だけでなく、それ以外の要素すら見えてくるかもしれませんね。
そしてこれにより、物事をありのままに客観的に見つめる力が養われます。
これこそが、フリーランスに欠かせない力です。
フリーランスに役立つ諦観の思考法
諦観についてご理解いただいたところで、フリーランスが諦観の考え方を取り入れるべき理由をお話していきます。
フリーランスは、
・ひとりで作業
・ひとりで経営
をしないといけません。そしてどこまでも自己責任の世界です。
何でもこなさないといけない日々の中で、「自分に腹が立つ」ことが増えていきます。クライアントの要望レベルに応えられない自分、生産量が伸びない自分、無駄な時間をすごす自分など、様々な場面で自分が嫌になります。
そこで「諦観」です。諦観は「物事の道理を正しく見る」でしたね。自分が嫌になる原因を探っていくと、あることに気づけます。
それは、自分にはできることとできないことがあり、できないことをさらに頑張ろうとして結局できなかったときに、失望したり自分が嫌になるということ。
できないことはできないとあきらかにすることで、
できないことはしない、という開き直りが生まれます。
これは、自分自身を正しくかつ客観的に見つめた結論であり、決して「逃げ」や「甘え」ではありません。
そして、「できないこと」を手放す(ほかの人に任せる)ことで、自分にできることだけに集中して、自分のことが嫌になる場面を減らしていくことができます。
必要最小限のことに取り組む。
そのために。不要なものを捨てる。
自分自身を苦しめているものをあきらかにすることで、メンタル的にも安定したフリーランサーになれるのです。
まとめ
「諦観」は仏教用語の枠を超えて、私たちに、正しいものの見方、考え方を教えてくれる極めて合理的な概念です。
物事の原因をあきらかにすることは、自分の在り方、考え方を明らかにすることに直結します。これからのフリーランス人生に役立つヒントを「諦観」は教えてくれるのです。