私たちは、誰しも、共通して秘めている思いがあります。
それは、「自分は正しい」という思いです。
傍目から見ると、この人がやっていることはおかしい、というような人でも、
本人は、正しいことをしている、と信じています。
自分の思っていること、やっていることは、間違っていない、と思っているのです。
正義感は、誰しもが持っています。
しかし、何をもって正義とするか、何に対して正義感を抱くか、が人それぞれ異なるために、
私たちは主張が食い違い、ときには衝突するわけです。
自分の言動について、何らかの指摘を受けたとき、
自分が抱き続けてきた正義感が傷つけられるのが怖いから、
「わたしが悪かった」とか、
「自分が間違っていた」と認めることが、
できなくなってしまうわけです。
自分は絶対に悪くない!と開き直ってしまうと、
自分と違う価値観があることを、見逃し続けることになります。
この地球上に、73億人の人が住んでいるとして、
73億通りの異なる正義感があることを、認めることで、
自分の正義感は、絶対的なものではない、という現実が見えてきます。
自分は悪くない、という開き直りから脱出するためには、
自分と違う世界、異なる価値観に、まず触れてみることが第一歩です。
そして、自分と違う正義感が存在していることを知ることで、
自分の持つ正義感を、客観視することが大切になります。
正義の基準は人それぞれだということに気づいたとき、
中立的な視点から物事を捉え、判断ができるようになります。
人それぞれ、異なる正義感を秘めていること、
そしてみんなが、自分は悪くないと思いながら生きていることに気づけば、
自分が絶対に正しい、という思い込みから、卒業できるのです。