すでにテレビが娯楽の王者だった時代は過去のものとなり、情報産業はネットが主流になってきました。
テレビを見る時間がめっきり減った、という方も少なくないでしょう。
そんな中、気になるニュースが入ってきました。
ついに、来るべき時がやって来た印象があります。
今回はこのニュースを取り上げてみようと思います。
さらにこれを機に、広告業界の概要を最新資料を引用して記事の後半で解説します。これにより、
も知ることができます。
それではいってみましょう。
インターネット広告がテレビ広告を上回る
まずは、11日の電通の発表についてのニュースを見てみましょう。
電通は11日、2019年の国内広告費について、インターネットがテレビメディアを初めて上回ったと発表した。ネットは前年比19.7%増の2兆1048億円と大幅に増え、2兆円の大台を突破。一方、テレビは地上波と衛星放送の合計でも2.7%減の1兆8612億円にとどまった。
出典:時事通信社
この記事によりますと、ネット広告費は6年連続で2桁成長しています(後述のグラフ参照)。
その要因について電通広報局では「スマートフォンの普及に伴い広告主にとってネットの重要性が年々増している」と分析しています。
さらに、テレビ広告費の減少が3年連続に上ったことについては「天候不順や自然災害が続き、企業側に広告出稿を控える動きが広がった」と指摘しています。
広告主の立場としては、ネットと、テレビなど他のメディア広告を使い分けているという段階で、テレビを「切り捨て」しているわけではありません。
国内全体の広告費では6.2%増の6兆9381億円で、8年連続で上昇していて堅実に伸びていると言えます。
次章で改めて説明する、テレビに新聞、雑誌、ラジオを加えた「マスコミ4媒体」は合計で5年続けて前年を下回ったのですが、ネット広告の伸びがそれをカバーして結果的に、業界全体ではアップしたというわけです。
また、朝日新聞でもこのニュースを報道しています。
ネット通販など今回から推計を始めた対象を除いて前年と同じ条件で比べると1・9%多い6兆6514億円となり、8年続けて前年を上回った。
ネット広告は6年続けて百分率でふた桁の伸びとなり、初めて2兆円を超えた。検索サイトの履歴に連動して表示する広告やSNS上の広告などが引き続き伸びた。ネット通販の出店者が出す広告費を初めて推計し、1064億円だった。
テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4媒体の事業者がネット以外から得た本業の広告費は5年連続で前年を割り、2兆6094億円。932億円(3・4%)減った。このうちテレビは、2・7%減の1兆8612億円。長雨や台風などの自然災害に加え、消費増税などを受けて経済状況に対する不透明感が強まり、広告が控えられたという。新聞は5・0%減の4547億円で、7年続けて前年を割った。
出典:朝日新聞
この記事でわかるのは、
ということですね。
いま、広告業界はどうなっているのか?
わかりやすいグラフや資料をご紹介しながら解説していきます。
ついでに広告業界の全容を把握しよう
いま現在、広告の世界がどうなっているか?なかなか知る機会がないですよね。
でも、今回のような大きな統計が出ると、概要をまとめたわかりやすい資料も発表されるので、業界全体の概要を知るには格好のチャンス。
ということで、広告・マーケティングの専門メディア「MarkeZine」(マークジン)がわかりやすい資料を作成、公開してました。
ネットとテレビの広告費はどう変化した?
まず、前章で解説した、ネット広告費とテレビ広告費の推移をご紹介します。
出典:MarkeZine
これを見てみますと、ネット広告費は5年で倍近くに増加しています。
これはYouTubeなど動画コンテンツへの広告の伸びが大きく影響していると見られます。
YouTubeを長年利用している方ならわかると思いますが、動画内で再生される広告が年々増えているのは肌感覚でわかります。
今後も、動画コンテンツを中心に広告費が伸びていくことが予想されます。
ただし、2020年3月現在、新型コロナウィルス感染拡大が経済に深刻な影響を与えており、伸びが鈍化、または減少に転じる可能性は否定できません。
また、東京五輪、パラ五輪が予定通り開催されるかも現状では不透明で、広告業界にとっては先の読めない事態が続いています。
話を戻しましょう。
対して、テレビ広告はどうかと思うと、減少はしているものの、かなり小幅です。見方によっては、横ばいの状態が続いているとも言えます。
テレビ広告(CM)はただでさえ高いイメージがありますし、電通などの広告代理店を介しますので手数料もかかり、敷居が高い印象がありますよね。
なので、既存の広告主はそのままとしても、新規の広告主がテレビではなくネットの方に流れている現状が垣間見えます。
これまでならテレビで広告を打っていた業者が、今やテレビをスルーしネット広告で集客を図っていることが、このグラフの推移からわかります。
全メディアの広告費の分布は?
では続いて、テレビ以外のメディアを含めた、媒体別広告費の推移を表した統計を見て見ましょう。
出典:MarkeZine
これは、広告業界の全体の流れが誰にでもわかりやすく把握できる極めて有益な資料だと思います。
まず、構成比から見てますと、2019年の統計では、マスコミ4媒体の全体への比率がかろうじてネットを上回っていることがわかります。
しかしこれも近い将来逆転するでしょう。
なぜなら、新聞、雑誌といった紙媒体の広告費の減少が顕著だからです。これがマスコミ4媒体全体での広告費を年々下げている要因になっています。
前章で引用した朝日新聞の記事でも、新聞の広告費減少が強調されていました。新聞業界の危機感を感じさせます。
テレビ、ラジオはむしろ横ばいを保っている印象ですね。
インターネット広告費の項目に目を転じると、今年から「物販系ECプラットフォーム広告費」が追加されていますね。
これは、amazon、楽天、ヤフーなど大手ショッピングサイトで、出店者が出稿した広告のこと。
ショッピングサイトで商品検索すると、広告料が課金された商品が上位に表示されていますよね。あれのことです。
今まで加算されていなかったのが不思議な感じもします。
構成比では、ネット広告費は2年で6.7%上昇しています。
さらに「プロモーションメディア広告費」は、現状ではネット広告費を上回っていることがわかります。
この「プロモーションメディア広告費」とは、屋外の看板や折込チラシなどの古典的なものから、駅の構内の壁面や柱などで見かける「デジタルサイネージ」と呼ばれる、CGなどを駆使したデジタル広告などが含まれます。
各項目の推移を見ていると、横ばいや減少が多い中、デジタル広告にあたる「イベント・展示・映像ほか」が着実に伸びているのは、IT時代の特徴と言えるでしょう。
広告のIT化への確実な流れ
というわけで、広告業界はIT化の流れが加速し、既存の広告手法がどんどん過去のモノへとおいやられることは、間違いありません。
今後はVR空間が新たな広告媒体として成長する可能性もあります。
広告技術の進化こそテクノロジーの華と言えそうです。
広告業界の今後は
前章で分析した通り、2020年は新型コロナウィルスの影響で広告費自体の減少が予想されますが、インターネット広告が伸び、テレビ広告が頭打ち、という状況は今後も続いていくものとみられます。
現状ではかろうじて全体の広告費がネット広告を上回っていますが、近い将来には逆転することでしょう。
逆に4媒体、特に新聞、雑誌は、市場自体が縮小し、廃刊、休刊が続くと予想されます。
テレビ業界でも、ネットでの番組視聴、いわゆるサイマル放送が普及するにつれ、テレビというデバイスを介しての視聴は下火になるのは確実です。
広告の流れはそのままメディアの興隆に直結します。
2020年代は、ネット広告がメインとなる時代が本格到来します。
今までには考えもしなかった広告の形が見られるかもしれません。
そして情報は、インターネット中心に発信されていくことでしょう。
おわりに
と言うわけで今回は、ネット広告がテレビ広告を上回るというニュースを起点に、広告業界の実態や未来について簡単にふれる内容でした。
広告費の増大という追い風を受け、これからもネット業界は発展していくことでしょう。
ネットを活用したビジネス、情報発信もこれからさらに加速度的に進化していきます。
その追い風を受け、「フリーランスOK」もこれからさらなる発展を目指します。
どうぞ今後ともよろしくお願いします!