「力は抜いて、手は抜かない。」
これは人気ロックユニット「B’z」の稲葉浩志さんの言葉です。
稲葉さんがNHKの番組に出演したときの発言で、「仕事をしていくうえで大切なことは?」と問われたことに対して答えたものでした。
稲葉さんの、ストイックに仕事に打ち込む秘訣が垣間見える言葉だと思います。
とは言え…

力を抜いたら手も抜いてしまうんじゃないの?
と、素朴な疑問がわいてきますよね。

そんな器用なこと私にはできそうもない!
といった声も聞こえてきそうです。
「力を抜く」と「手を抜く」は一見すると似ていて違いが分かりずらいのですが、実は明確に異なります。
仕事を例にとると、双方の違いはこうなります。
「力を抜く」とは、仕事に向けるエネルギーを調節する。
ということになります。
「仕事」を、「趣味」や「遊び」に入れ替えてもいいと思います。本質的には変わりはありません。
今回は、手を抜くことなく力を抜くとはどういうことか、具体的にお知らせします。
力が入りすぎるとはどんな状態か?
仕事を任されている以上、その仕事でお金をいただいている以上、手を抜かない、というのは当然です。
ビジネスとは必ずお金を支払う「相手」がいますから、相手を満足させるためにできることはできる限りやる、というには当たり前のこと。
「手を抜いた」とき、相手は案外簡単に見抜きます。他意はなくとも、コンディションが悪かったり、心が乱れたりすると、普段とは違う微妙な変化を感じとられます。
仕事に真剣に向き合う中で、「手を抜く」ということは相手にとっては失礼な行為であり、避けたいものです。
しかし「手を抜かない」ことと同時に「力を抜く」とうことは可能なのでしょうか?
そもそも力を抜くとは、何を意味しているのでしょうか?
わかりやすい表現として、「肩に力が入る」という言葉を考えてみましょう。
肩に力が入っているとは、どんなときしょうか?
それは、「よく見せようとしている」ときです。
いいところを見せよう、かっこよく見せようとしているときに、「肩に力が入る」状態になります。そうなると、余分な力を出してしまい、さらに疲労がかかるわけです。
背伸びせず、自分以上の自分になろうとせず。ありのままの自分を出し切る。自分にできることに徹する。これが「力が抜けた状態」となるわけです。
私たちは何にでもトライすることができる時代に生きています。従って私たちの可能性は無限ですが、気力や体力は有限です。さらに時間もまた有限です。限られた時間の中で、限られた力をいかに有効に使うかに、仕事の充実度はかかってきます。
だからこそ、「無駄な力は出さない」という発想が大切になっていきます。何らかの目的を実現するために、最大限の力を出し切るために、力の出し方を上手にコントロールする必要があるわけです。
力を入れる場所を厳選しよう
というわけで、限られた気力体力といった個人のリソースと、「時間」という有限の財産をどこで使い切るか、ということがとても重要になってきます。
力を入れる場所と時間を徹底的に選び抜くということです。
そのためにも、普段から優先順位をしっかりと定めることを習慣化したいものです。
おわりに
このように、最大限のパフォーマンスを発揮するために、エネルギーとなる気力や体力を調節することが、「力は抜いて手は抜かない」の真意です。
決して、楽をしてもいいとかさぼってもいい、ということではありません。仕事に真剣に向き合うことが大前提で、そのために必要な力を集中させましょう、ということ。
結果的に、無駄な力が抜けることになるわけです。